ハサミのお手入れの仕方

ハサミはセーム革を使ったお手入れが有効です。
ポイントを押さえて、ぜひ毎日こまめに行ってください。

「セーム革」とは鹿革をなめしたものです。 対象物に傷がつきにくく、宝飾品のお手入れにも使われます。 汚れたら中性洗剤でもみ洗いをして、陰干しすることで再利用ができますが、 油汚れは落ちにくいため、弊社では買い替えをおすすめしています。

主な目的

✂ 付着したごみ、汚れ、水分を取り除くこと。
(水分や汚れを残すとサビが生じやすくなります。)

✂ 刃先や触点に生じた不具合(返り刃など)を取り除くこと。
(放置すると開閉がカクついたり、切れ味が著しく低下します。)

返り刃(かえりば)とは

”カエリ”や”バリ”とも言われますが、刃先に生じる不具合の総称のようなものです。
「返り刃」がでるとぱくつきやすくなったり、スムーズな開閉ができなくなります。

"刃と刃が交差するハサミでは、新品や研ぎたてのものほど「返り刃」がでやすいので、 最初は一人カットするたびに拭くようにしてください。

ハサミの裏の拡大図
ハサミの裏の拡大図
ハサミの裏の拡大図

開閉することで刃と刃がこすれ、バリが発生し、刃表にめくれたり(赤色部分)裏(黄色部分)に金属の盛り上がりが生じた状態になります。

実際の返り刃
例 実際の返り刃
刃表に刃の先端がめくれている状態

刃表に刃の先端がめくれている状態

返り刃が取り除かれた状態

返り刃が取り除かれた状態

*実際に肉眼で見えるほどの大きさの場合は、セーム革で取り除けないことが多くなります。
こまめに拭くことで防げますので、ぜひ習慣にしましょう。

拭き方の流れ

まず刃表から裏側に向けて拭き取り、次に刃裏からフラットに抑えて刃先を整えます。
これらを何度か繰り返して、触点部分を拭いて慎重に閉じ、最後にねじの調整をします。

セニングの拭き方をサンプルに説明します。カットシザーはセニングの棒刃と同様です。

オレンジの○=指を固定するところ
緑の線=動かす方向

1,準備(ハサミの持ち方)

1:セーム革は折り重ねるなどして厚さを調整する。
(当社付属品だと2枚重ね程度がおすすめです。)

準備(ハサミの持ち方)

2: ハサミをしっかりと握る。
人差し指の背でもう一方の刃が動かないように固定する。(赤線部分で固定)

準備(ハサミの持ち方)
準備(ハサミの持ち方)
2,棒刃の拭き方(カットシザーの場合も同じ)

1: 刃表から拭く
刃先に親指を置いて固定し、ハンドルを持った腕を肩を上げずに自然に引く。
*決して腕を引き上げず、少し内側にひねりながら引くのがポイント

棒刃の拭き方
棒刃の拭き方
棒刃の拭き方

刃表側に返った「返り刃」を刃裏に押し戻すイメージ

2: 刃裏を拭く
刃裏の先に人差し指を置いて固定し、同じようにハンドルを持った腕を自然に引く。
*人差し指が刃の上にのらないように注意する

棒刃の拭き方
棒刃の拭き方
棒刃の拭き方

刃表から押し戻した「返り刃」をフラットに拭き取って整えるイメージ

3,クシ刃の拭き方

1: 刃表から拭く
刃先に向かって親指をスライドさせて拭く。
クシ刃の上側まで回り込むようにしっかりとスライドするのがポイント。

刃表から拭く

クシ刃の一本一本を意識して丁寧に拭く

刃表から拭く

人差し指で固定して、親指をスライドさせる

2: 刃裏を拭く 刃裏に人差し指を置いて、まっすぐ上にスライドしながら拭く。
*反対側の刃にあたらないように注意する

刃裏を拭く

クシ刃の裏の刃先を意識して、しっかりとまっすぐ上に向かって拭き取る

刃裏を拭く

親指で固定して、人差し指をスライドさせる

「返り刃」は一度で取り切れないこともあるので、2(と3)は何度か繰り返す

4,触点を拭く
触点を拭く

ゴミや汚れを取り除くように拭く。

触点を拭く

裏返して反対側も拭く。

5,刃があたらないように閉じる。

1: まず閉じて問題がないのを確認してから慎重に開き、数回開閉してなじませる。

刃があたらないように閉じる

ほんの少し力を入れて保護する。

6,ねじで開閉のかたさを調節する

返り刃を取り除くと少し緩むことが多いので、適宜締めます。
(何度か繰り返すうちに落ち着き、緩みが出にくくなります。)

刃があたらないように閉じる

自在ねじは手で簡単に回せます。
スリットのはいったコインねじは、10円玉などの硬貨で締めます。
(1円玉は柔らかく破損しやすいので、10円玉がおすすめです。)

刃があたらないように閉じる

ハサミの重さで、刃先1/3のあたりで自然に閉じるくらいのかたさに調節します。
※グランド覇王はスプリングを内蔵しているので、お好みの固さで調節してください。

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